トマスの疑い深い資産運用

30代半ばの日本人男性兼業投資家。日々勉強中です。

株主

ジェラルド・M・ローブ『投資を生き抜くための戦い』16 その他のテクニカルな着眼点

16 その他のテクニカルな着眼点

 上昇局面で買い入れる(または下げ相場で売却する)正しい株の選び方の原則を手短かに説明するのは、そう簡単ではない。これらの理論を応用するのに肝心な点は、変化の兆候をいつ信じ、いつ疑ってかかるかを察知する才能だ。同じ状況に関して正反対の推論が起こり得るとすれば、重要なのはそれぞれが何を意味しているかを正しく判断する直感力である。
 このような逆説的な判断を正しく行う力をつけることができるかどうかを決めるカギは、経験である。
 強気相場での一時的な反落の間、主力銘柄の中で最も下げの少なかったものが十中八九、次の反発で最も値上がりするものになる。その一方、いったん市場が大きな下げ相場に入ったら、平均よりも強そうに見える銘柄は、単にいずれ起きる下落を遅らせているだけのことが多い。「相場の動きとずれている」のはどちらも同じなのだが、ラリー中の遅れが「(強気)相場に遅行している」だけという時もあれば、強気相場の主導株を作る活力が欠けていることを表している時もある。どちらがどちらだろう?

 ここも最後の部分が誤訳と言っていいほどわかりにくかったので修正してあります。

 原則にはこのような判断を用いなくてはならず、それが成功への確実な方式など存在しない理由なのである。しかし、より一般的な着眼点があることはあり、調査や実地テストの背景として応用すると役に立つと思う。
 予想を立てるなら主にティッカーテープから、つまり価格変動から行うことを勧める。これは初歩的ではあるが、成功には必要なプロセスだ。いったん市場が上げ相場と確信したら、私なら主力銘柄の中でも最強のものを追う。それらは弱さに対して最少の反応を示し、強さに対しては最も盛り返すものだ。そして、取るに足りない相場の兆候から誤った結論を出してしまう危険を最少にとどめるため、アクティブでなければならない。できれば反落しているときよりも、上昇しているときによりアクティブなものがよい。ただし、底値近くでちょっとした弱気が「投げ」を促し、反騰への備えとなることもある。ここでも、原則よりものをいうのは経験による判断だ。

 「出遅れ株は無視せよ」とか「主導株を追え」とかいうようなことはよく言われますね。

 「投げ」のところは原文では"shake-out"で、「振るい落とし」の方が適切にも思えますが、次の部分で(バイイング)「クライマックス」の逆とされているところを見ると「投げ」の方がいいようにも思え、微妙ですね。

 株式が値上がり時に活発になりすぎて天井に達し、上記の「投げ」の逆である「踏み」とか「クライマックス」とか呼ばれる状態になることもあり得る。ここでもまた、店頭銘柄や小規模な証券取引所で扱われる銘柄はもちろん、ニューヨーク証券取引所の不振銘柄でさえ、まったく何もできないことは明らかである。注目するものなど何もない。判断するベきものもない。兆候もない。好調のシグナルもなければ、その逆もない。
 したがって、言ってみれば買いにくく売りやすい銘柄を買うことに真剣に努めることになる。つまり買いどきには、並の銘柄と比べて、期待より少しだけ強い株だ。ここで言っているのは、相場の初期の段階か、明らかに上げ相場が一時的に後退している間か、弱気続きからちょうど回復の兆しが見えてきたときの株の動きのことだ。

 「踏み」のところ、原文では"blow-off"です。「踏み上げ」に相当する語は"short squeeze"なので、起きる条件としては合っていても、ニュアンスは違う気がします。

 直訳だと「吹き飛ぶ」「吹っ飛び」ぐらいになりますが、単に急上昇のことではないようで、対応する自然な日本語はない気がします。定義からは「バイイング・クライマックス」とするのが良さそうに思えます。

 それを修正してもなお意味するところがわかりにくいのですが、要するに出来高がない銘柄だと(テクニカルの)適切な売り時を判断することができないと言っているのではないかと思われます。

 ここでの強さとは、熟練したトレーダーだけが気づく程度のものである。誰にでも聞こえる大声で喧伝するような強さは、強気シグナルのこともあるが警告ということのほうが多い。できるだけ総括的で確実な説明を試みると、もし株式が何も知らない一般大衆に「見栄え」よく映るような動きを取るとすれば、その強さは危険の印だ――備えの乏しい者に、利食いや空売りを促したり、反発を待つ気を起こさせれば、その株はたいてい追跡の価値がある。この説明でさえ、手直しが必要だ。情報によらない買いは、それ自体が常に天井の兆候というわけではない。実際、急騰のサインであることがよくある。ここでも、タイミングが何よりも重要だ。

 ここも難しいですが、大衆にとって見栄えがよく飛びつきたくなるもの、というのは、すなわち直近で上がってきていて今現在訳もなく大幅に上がっているものだから、ということか。

 しかし本当の下げ相場のシグナルは、情報によらない買いが集中したときに起きる――言うは易しだが、これこそが世間で正確に見定めるのが最も難しいことのひとつである。役に立つサインは、買いの効果を見ることだ。もし株が順調に値上がりすれば正常である。もしも人気が集まっているのに足踏みするようなら要注意だ。買いが続いているのに株価が下がるようなら、トラブルを覚悟したほうがよいだろう。

 「買いの効果を見る」は自分で買うということではなくて、たとえば成行買いが多い中で、どんどん上の板を喰っていくような状態は順調、上の板にぶつかって抜けられないような状態を注意、抜けられないどこか上の板が押し下がってくるようだとまずい、という意味か。

 強調してもしきれないのは、何かが起きたときに、起きたことそのものではなく、そのタイミングについて考えることの大切さである。ある特異な動きを追うよりも、ひとつの銘柄の動きをほかと比べてみる。ニュースそのものを云々するよりも、ニュースが株価に与える影響を見ることだ。一度に市場の一面だけに注意を払うのではなく、需要と供給の両方に目を向けることである。

 これも広義の二次思考か。

 人々は、言葉や表現をかなりあいまいに使う――ことに買いの良し悪しに関しては。ウォール街で話を聞いていると、場合によってはその日の注文はすべて買いか売りしかないと思ってしまうこともある。
(中略)
 すべての株式は、常に誰かに所有されている。では、どのクラスの人々に? そしてもちろん、すべての売り注文は買い注文を受けなければならず、逆もまたしかりである。またしても、誰がどちらの側にいるのだろうか? これに関しては、マーケットの成行注文を指値注文と分けるとやりやすい。前者のほうがはるかに重要である。

 株主の質、つまりどれだけの期間(売りに出さずに)保有するつもりなのかが重要ということ。成行注文は、いくらであっても今買い(売り)たいという注文なので、指値注文より重要なのはある意味当然か。

 ほとんどの素人は、スペシャリストの名簿に買い注文が多く、売りが少なければ、自分の株は安泰で値下がりよりも上がる確率が高いと思いこみやすい。
 実際には、ほとんどのケースで逆になる。なぜならマーケットは通常、最大の指値注文とは反対の方向に動くものだからだ。売りに出ていないものは買えないし、買い注文がなければ売れもしない。もちろん例外もあるが、概してこのことが当てはまる。

 「スペシャリストの名簿」など当時の仕組みがどんなものか把握していないのですが、今で言えば何のことかはわかります。いわゆる「板の厚い方に動く」という経験則です。背景にある原理はここで言われているものと同じだと思われます。

 経営陣や大株主が相場にへたに介入しようとすると、本来「売り」注文が必要なところへ、「買い」注文を持ち込むことに集中してしまう。実際は、ビッドとオファーのスプレッドが狭いことが重要なのだ。相場を形成するには、たくさんの人に株を売り、彼らの関心を買い増ししたり人に勧めたりすることに向けることだ。それによって、幅広い自然なマーケットの下地ができあがるのである。
 人が株を買うときは、それを高く転売するのが目的である。したがってあなたの求める株は、転売しやすく、自然に売れるものであるベきだ。絶対に欲しくないのは、株価が人為的な需要のあるなしに左右される株や、見当違いのIRコンサルタントとうっかり契約し、株の強気情報をウォール街中に流さなければならないような会社の株だ。
 普段から取引の活発な主力銘柄には、このようなごまかしはあり得ないと考えてよい。それほど活発でない株、特にたまにアクティブなことがある銘柄にはよくあることだ。後者には手を出さないことである。

 いわゆる煽り銘柄とか仕手株とか、当時ほど露骨でなくとも、同じようなことは現在でも起きていそう……。

 繰り返しになるが、このように強気相場では「買いにくそうな」主力銘柄や、大方の主力株に少し差をつけそうな銘柄に投資するとよく当たる。
 ティッカーテープ、チャートや値動きの「兆し」を読みこなすのに最も大切な要素は、時間である。それがいつ起きたかを問わずに、ある株が高値を更新したり、抵抗レベルを抜いたりしたときに買いだといっても、その話はまったくのナンセンスである。つまり、相場のサイクルの中で兆候が早く出るほど意味があるのだ。遅すぎたら何にもならない。
 (中略)全体的な長い下落のあと、ほかの兆候が出てくる何週間も前に強気のシグナルを見せたなら、それはおそらく最も重大なブル情報だろう。だが、もしも数カ月に及ぶ強気相場のあと、出遅れ株が過去の高値をついに抜けたとしても、弱気サインとしては重要かもしれないが、たぶん買いシグナルとしては無意味だと思う。
 このようにひとつの株の動きを、相対的な強さや弱さ、活発さや鈍さ、達成にかかる時間などをほかと比べてみることが重要である。個々の銘柄の基本的な動きは、他の銘柄の動きと比べてみて初めて価値がある。

 ちょっとニュアンスが違うかもしれませんが「賢者が最初にやることは愚か者が最後にやること」という格言みたいなものかと。

 最も当てになる危険シグナルは、長期にわたる相場の持続的な値上がりのあと、株価が急騰したり、急上昇した分が完全に後戻りするというような、どちらにしても怪しまれる状況である。
 株がトレーディングレンジ内で行ったり来たりするのは、もちろん正常である。しかしもし連続高でレンジを突破したならば、50%から99%は保有を続けるベきである。株はいったんスタートしたら、二度目に参入するチャンスはめったに来ない。もし二度目のチャンスが訪れたとしても、見送るほうがよい。その株はもはや買いにくくはないからだ。
 妙な話だが、本物の暴落の初期段階では、非常に多くのナンピン買い下がりが行われるように、レンジ突破後の高値で売るのは簡単かもしれない。しかし賢いトレーダーは、新高値では買い乗せする。無知な者は「ナンピン」にいく。新高値は初心者にはなじみがなく、どこか危険に見えるのだ。
 銘柄が初めて20、25、30、35、40、45、50、55ドルを付けたとき、それはかなりリスキーに見える。だが、55ドルを越えてしまえば、49ドルは安全で手堅く思える。そういうわけで、ほとんどの「売り逃げ」は、「下げている」ときに起きるのだ。

 難平が悪手というのは基本中の基本ですが、「新高値」が危険ではなくチャンスに見えるようになったのは、自分の経験では、初心者脱出したと思えるターニングポイントだったようにも思えます。今が基本的に上げ相場の時期だからという面も当然あるでしょうが。

 新高値投資については、こちらの本をオススメしています。

ローレンス・A・カニンガム『バフェットからの手紙』★★★

 数字が結構出てくるのであまりオーディオブック向きではなかったかも。

 同時に、どちらかというと地味な話が多いので、何度もぼーっと流し聞きながら基本理念を定着させた方がいいという意味で、オーディオブック向きかも。

 どっちの効果が勝るか自分でもよくわからない。もちろん元の内容がいいので、どちらにしても悪くはない。

ローレンス・A・カニンガム『バフェットからの手紙 [第3版] ──世界一の投資家が見たこれから伸びる会社、滅びる会社』★★★★

 過去書評。初めて読んだときはこの版ではなかったと思う。手っ取り早く投資の役に立つ、というわけには行かないが、一度は読んでおくといいと思う。

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