PERという指標には良くないところがある

 ミクシィ投資から得た教訓その6です。今回初めて理解したというわけでもなく、独自の意見というわけでもないですが、高PER投資の話なのでここに入れます。

 PERはおそらく最も有名な指標です。株価を一株あたりの年間利益で割ったものです。一般にPERが低い方が有利とされます。

 これは、ある意味では、もちろん正しいです。PERが低いというのは、利益が一定なら「安い」と同義であり、株価が一定なら「利益が多い」と同義だからです。単に「より利益の多い会社の株をより安く買えたら有利」と言っているだけです。ほとんど自明です。

 二次思考をするならば、自明に正しい考えは、市場平均を上回るにあたって何の価値も持たないことがわかると思いますが、今回取り上げたい問題はそれとは別です。

 今回主張したいPERの問題点は、計算すると単位が「年」になってしまい、この「年」という単位が日常的(≒直感的)過ぎる、ということです。

 PERは激しく変化しうるのに「年」という単位は通常伸び縮みしません。高PER株投資の焦点は、大幅な利益成長が見込めるかどうかであるのに、その一番大事な部分を考えられなくしてしまう方に強力なバイアスがかかります。

 たとえば、高PER株を買うことに関して、

「PER400の株を買うなんてアホか! 関ヶ原の戦いから今までの期間の利益を織り込んでるんだぞ!」

(ちなみにこれは、いま私が口から出任せにでっち上げたものです。もしたまたま全く同じ発言をしたことがある人がいたとしても、特定個人を念頭に置いたものではありません。)

 というようなことが言われます。こう言われると確かに馬鹿げたバブルにしか見えません。

 このたとえの問題は、PERは大きく変化しうるのに、「関ヶ原の戦いから今までの期間」は(単なる時間経過以上には)全く変化しないということです。

 400などという高PERがつく銘柄は、この先ウン十倍といった利益成長が見込めるかどうかが重要であるのに、400年が長いかどうか(長いに決まっている)に思考が行って、そこで停止してしまいます。

 この錯覚を逃れるには、PERを絶対に「年」という単位で考えないようにするべきですが、直感を断ち切るのはなかなか難しいと思います。「年」だとしても、それを工期や納期のような、大きく変わりうるものとしてイメージするようにすべきでしょう。

 最初からPERを見ないで、その逆数の益回りを見るようにする手もあると思います。私は自作ツール上ではその方法を採用しています。

 当然ですが、ひとつだけ注意です。高PER株を買えと言っているわけではありません。高PERの株が実際にただの馬鹿げたバブルになっていることは、ままあります。

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